害虫対策には湿気大敵 (宅島)
気温が高くなると、虫の活動も活発になります。人の体や住まいにさまざまな悪影響を及ぼす害虫も例外ではありません。被害を最小限に防ぐには、害虫が生息しやすい環境を作らないことが大切です。
害虫の中でも気を付けたいのが、人の健康を脅かす「衛生害虫」です。ゴキブリや蚊、イエダニ、ハエなどが含まれます。
家のさまざまな所に潜む害虫(イラスト)●水回り部分にご注意~ゴキブリ
一般住宅で多く見られるゴキブリは「クロゴキブリ」。気温が20度を超えるころから活動が活発になります。成虫になると触角を除いた部分が4センチ程度に成長します。病原菌を運ぶほか、フンや死骸がアレルギー源となったり電気コードをかじってショートさせたりもします。
見かけることが多いのは台所などの水回り部分。普段は冷蔵庫の裏側や家電製品の中など暗く暖かい場所にいて、夜になると行動します。雑食性で食品のほかフケや髪の毛、仲間のフンなども食べます。
こまめに掃除をして餌になるものを取り除くことで発生を防ぐことができます。整理整頓でゴキブリの潜む暗く狭い場所をできるだけ作らないことが大切です。
●たまり場を解消~ダニ、蚊
次にダニ。布団やカーペット、畳などに発生します。家屋内に多く生息するヒョウヒダニは温度約20~30度、湿度約60~80%の高温多湿を好みます。発生予防のためには部屋の風通しを良くし、布団を天日干しします。人のフケやアカなど、餌になるものを掃除で取り除くことも大切です。
蚊は、家の周りで発生を防ぐため、ボウフラのわく「水のたまり場」を作らないことが重要です。バケツや空き缶、植木鉢の受け皿などに雨水がたまっていないかを確認したり、側溝を掃除して、ボウフラの生息場所をなくしましょう。
●地域で異なる対処法~シロアリ
5月の大型連休前後から東日本で目撃されるのが、羽の生えた大量のシロアリが家屋の壁のすき間から屋外に飛び出す様子です。別の場所に新しい巣を作る「分巣」のために群れの一部が屋外に飛び立つ季節なのです。
シロアリには「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」がいます。見た目はほぼ同じですが、屋外に飛び出す時期は、東日本で繁殖するヤマトシロアリが4月下旬から5月上旬ごろの昼間、関西以南で繁殖するイエシロアリが6~7月ごろの夜間と違いがあるため、地域によって対処時期が異なります。
いずれも屋外に出る一時期にだけ羽が生えるため、通常のアリに羽の生えた「羽アリ」とお間違えないように。壁と天井のつなぎ目の角や外壁のひび割れなどから外に出ることが多いそうです。
シロアリは通常、水が漏れやすい風呂場や台所など湿気がある床下で生息し、土台の木材を食い荒らします。被害を受けているかどうかは、シロアリが大量に戸外に出ていないか、風呂場と脱衣所をつなぐ敷居部分などが内部から食われ、触るとぶよぶよした状態になっていないか、などを確認します。
ただ、初期段階で被害に気付くことは難しいようです。専門家は「シロアリの存在に気付いた時は、すでに床下が相当食われている時と考えた方が良い」と話します。壁のすき間から大量に出てきた場合は、ピレスロイド系の市販の殺虫剤で対処し、その後内部にいるシロアリを駆除します。
内部の駆除は、住人の目の届きにくい床下で、薬剤を使う作業になります。被害状況によっては費用も高額になるので、慌てて依頼するよりも、何社かに見積もりを取り、信頼できる業者を見極めたいものです。
薬剤使用後は換気、掃除機をしっかりと(イラスト)業者を選ぶポイントとして、(1)駆除の実績が多く社歴が長い(2)事前に費用や作業、保証内容などの説明を丁寧にする――の2点が重要です。シロアリ駆除には5年間の保証が付きますが、短期間で社名を変え、保証を無効にする悪質業者も存在します。費用の安さだけで選ばないことが大切です。
●使用後はよく換気
屋内の害虫を一斉に駆除できるのが、部屋に薬剤を散布する市販の「くん煙剤」や「くん蒸剤」です。大手製薬会社によると、殺虫成分を含んだ煙が発生するくん煙剤は粒子が細かいため、小さなすき間にも殺虫成分が届きやすいそうです。薬剤が霧状に噴射されるくん蒸剤は熱や煙が発生しないため、集合住宅で使用する人も多いといいます。
食器棚やクローゼットの中に害虫が潜んでいることもあるので、使用の際は食器などに覆いをかけて扉を開けます。火気がない場所での使用を心がけましょう。使用後はよく換気し、薬剤の粒子や害虫の死骸などを取り除くために掃除機をかけると良いそうです。